2024
多層階の集合住宅の源流であるヨーロッパでは、多層化が一般化した早い段階から共有部についてのコミュニティ機能が見られた。住宅はコートヤードとよばれる共有庭を囲んで三角形や多角形の形状をしている。共有庭には果樹が植えられ、自動車以前の時代は移動手段である馬を世話する場所であったり、共同浴場、共同炊事場であったりもした。新しい暮らし方を描くことにワクワクして仕方なかった建築家たちの気持ちがみてとれる。日本の集合住宅においても同様に、つくってる人も住んでる人もワクワクしつづける素晴らしいケースが多くある。
一方で20世紀後半の日本や世界の集合住宅のマジョリティ歴史は他人と関わらないでも生きていける方策としてのラインをつき進んでいった。大多数の生活基盤が貧しく、他人と関わらないと生きていけない20世紀初頭までの暮らし方へのアンチテーゼとしてどんどん「関わりしろ」を減らした形が進化していった。2000年代の後半以降、つまり2008年のグレート・リセッション(リーマンショック)以降の現代においては、逆説的に「ちょうどいい関わりしろ」が様々な分野で試行錯誤を重ねられている。公共的な施設はもとより集合住宅も例外ではない。幸福度とはなにかという問いへの姿勢の変化。2020年からの「集合してはいけない」時間とAIふくめたデジタル環境の大進化を経て、いま再び「ちょうどよい間合い」がおおきな問いとなっている。飲食店の席でのスマホ注文やロボット配膳は幸せか否か。集合住宅のパーティールームはどう進化すべきか。ジム、ライブラリ、コンシュルジュ。過去10年で一般化したものに対して、オルタナティブは発明しうるのか。プロダクトである分譲集合住宅においては商品性や財産保全ファクターとしての性格もありつつ、高騰する環境下においては問いをおびた提案が必要な局面でもある。商品性を高める必要性が大きな立地である本プロジェクトにおいては購入者像の描き方から従来的な手法から刷新しました。声の大きさよりも耳のよさ。ちいさなことをしっかり観察できる視力。現地の観察やヒアリングから、現在のトレンドの上に足をふんばって大きなジャンプを描きました。
随時ご相談を受け付けております。
「まだプロジェクト化していないけれど、まず考えを聞いてほしい」
「ざっくりと金額を知りたい」「こんなことはできますか?」など、
現在のフェーズや状況を問わず、お気軽にご連絡ください。
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