ネーミングのはなし② ノーミングハイブリッド

アイデアって思わぬところからやってくる。今回は2001年からやってきたインスピレーションの話。

ブランディングを担当してるリンゴのお酒、ハードサイダーの「サノバスミス」と全国のクラフトビールバーから精鋭が集ったノマドビール醸造チームのYuya Boysが一緒につくったバッチはとても実験的。りんごをザワークラウトの手法で乳酸発酵させてつくった乳酸菌とセゾン酵母、野生酵母と一緒にりんご5種、フレッシュホップ4種、麦汁を加えてドルゴクラブでビタリング、それからモザイクポップとオークチップでビタリング。

複雑珍奇なるプロセス。ネーミングも直前まで待ちました。実験的な発酵ものは最後まで何があるかわからない。できあがる時期はいつでも酵母のご機嫌、つまり自然界のなりゆき次第。でも税務申請の関係もあるのでネーミングはいつまでも待ってられない。工場の最後のプロセスで飲んだ感想を聞いて、名前をつけた。

Norming Hybrid

今回の酒造りに関わった面々は、まず畑にリンゴを植えるところから始めた。農民ing。彼らはいつも飲んでるし、飲む場をつくるプロフェッショナルたちだ。飲みing。ハードサイダーとビールを一緒にしてみる。Norming。辞書には統一と載ってるけど、新しい標準をつくるという意味をこめた。

名前の前半にストーリーとか姿勢を込めて、 お酒ではあまりつかわないハイブリッドをもってくる。これは機能的に酒の構造を表してつつ、ノーミングの持つのんびりした響きをハ行、促音、濁音の口が気持ちいい組み合わせで締める。

開発段階ではアップルビールとされてたけど、結果的に低糖度な飲み物なので、なんだか甘ったるそうなビールが想像されてふさわしくない。

彼らのストーリーをききながらしばらくの期間考えていたけど、ヒントをくれたのは音楽だった。Fat Boy Slim2001年にだした”A break from norm”。彼がサンプリングにつかった音源を集めたアルバムだ。何かのきっかけで久々にiPhoneから流れてきたけれど今きいても古くない。新しい酒を作るとはすなわちNormをつくることなんじゃないか。鼻筋がスコーンと通る感覚だった。

限定醸造のお酒なので見かけたら飲んでみてください。クラフトビールバーなどでボトル入りが発売中です。

@yuyaboys