一式と、はたらく時間 会社説明会をすると、「働く時間はどのくらいですか」という質問が多くあります。たしかにデザインに関わる仕事は一般的なイメージからして夜も煌々とオフィスに灯りがともっていそうです。バウムは宣伝の仕事が多かった初期からして、丸の内朝大学のお仕事があったので朝型でした。翌朝5時に起きるわけですから、僕もたとえ会食があったとしても朝が早いのでと早めに失礼していました。 今は仕事の割合も随分と変わって、全員が毎朝5時起きするようなことはないのですが、社員が保育園にお迎えにいく時間が来るとそこで今日も終わりだなという空気になります。長時間働くのも徹夜するのも是としないので、みんな順番を気にせず続々帰ります。 延々と仕事をしないためにいろいろな工夫をしています。弊社にはデザインとか宣伝の業界でよくある〇〇〇1式▲万円という見積がありません。アメリカ式にどの人が何日/何時間働くのか、しっかり見積しています。「お金」についての教育が疎かなのは昨今の仮想通貨関連でも明白です。出来上がったものの大きさや種類など物理的なものに値段をつけがちですが、コンビニのお買い物ではないのでその感覚で考えてしまうと不正確な見積になります。これがほとんどの業務での長時間労働の原因のひとつです。結果的に時間で計算した方が正確な見積になり、顧客にとってもメリットがあります。仕事も暮らしも深く関わっている2つの外国、働く時間の短いアメリカとデンマークの影響はとても大きく、その影響をしっかり日本にも伝えていこうとしています。 とはいえ社会は「働き方改革」が口の端にのぼることが多くなっても、まだまだ慣例に基づいた判断が通例ですから難しいことも多々あります。90年代のCMで何度もでてきた「亭主元気で留守がいい」や「24時間働けますか」あたりの強烈な価値観が今も根強く残っています。北欧の人には20年かかってもこの国は北欧レベルにはならないなんて揶揄されてしまいます。くやしいので頑張りたい、いや頑張りすぎない文化を少しずつ作っていきたいところです。