働き方の未来(北欧のコロナ後を考えるディベートから)

アーバニズムとサステナビリティに関わる企業が集まるBLOXHUBでは定期的に時代を考えるイベントが行われる。
新型コロナウィルスのロックダウンが明けてからはもっぱらCOVID期の分析といわゆるアフターコロナのことだ。
先日開催されたディベートのテーマは「FUTURE OF WORK」。
デンマークとスウェーデンから、建築家、コワーキング運営者、オフィス機器事業者、オフィス貸主、研究者などオフィススペースに
関わる各方面からのゲストが集まった。
もちろん大きな正解があるような問いではないので、いくつか気になったトピックを紹介したい。

 

ホームオフィス

週のうちの何日かがHome Office勤務になることの
豊かさ、そして問題のなさが世界的に確認された。
これは大きなファクトなのだ。

 

賃貸の進化

貸主は変化に直面している。オフィスを縮小するテナントは多く、
新しい働き方に適応できる賃貸の方法を探さなくてはならない。

 

オフィス<コミュニティ<社会

働き方やオフィススペースの変化だけを見ていてはならない。
これはコミュニティの変化でもあるし、社会の変容でもある。
同時に働き方やオフィスがそれらに大きな影響を及ぼす存在であることも
顕在化した。

 

政府

社会的な不確実性も大きく、挑戦も多くなる。
こういう変化のときは、政府だけは確実性を担保しつづけてほしい。

 

長期的な変化の契機

いまのところ、変化はすべて目前の経済的自立の継続や、健康不安、
そして未来の不確実性からうまれている。すべて恐怖にかられて変化が起こっている。
しかしこれは長くても数年間のことで、何十年も続くことではない。
他方でこの契機は何十年に一度の変化のチャンスなのだ。
恐怖に支配されずに、冷静にとらえなくてはならない。

 

若年層の成長の難しさ

(これは会場からの質問)
リモート勤務は成熟したワーカーには問題ないが、大学を出たばかりのような若者の成長が
ZOOMやTEAMSの画面だけでできるわけではない。これは大きな課題ではないか。

 

 

最後の「若年層の成長の難しさ」は日本で経営者とはなしていても出てくるトピック。特に日本型の比較的に面倒見のよい成長環境が重視される場合には、おおきな課題といえる。リモート環境は効率的だが、社会参加の実感が減り、メンタルヘルス上の問題も大きい。登壇者は、「ZOOMの画面越しに少なくとも眼を見て会話はでいているがね」と言っていたが、やはり仕事とは人間と人間が信頼しあった上で、情報、労働力を交換し社会を運営していくもの。社会性の高い動物にとって大切な営みなのだ。仕事は効率重視で、家にいる時間を大切にする北欧。それでも人々は(意外なほどたくさんの人が)通勤を再開している。