場とことば、から生まれる新しい「場」

こんにちは、インターンのみっきー・りんりん・れいれい・たかそん・こばりん・よっしーです。
さて、今回は1月21日~31日にかけて渋谷キャストで行われた、バウム初となる企画展「場とことば展」の様子をお届けします。

場とことばの展示ってなんだろう

デザインを手段とし、一行の文章も「場」と捉えて作り上げてきたバウム。
今回の企画展では、これまでに作ってきたデザインのプロセスに介在する”ことば”から街づくり、場づくり、ブランディングデザインについてZからAまで26のキーワードにまとめ、新たな場を生み出しました。しかし、今回の展示ではこれまでにバウムでデザインした制作物そのものの展示ではありません。



  
会場には、浮かぶ「超」の文字、ふせんが大量に貼り付けられた自転車、
のぞき穴が空いた謎の白い小屋……。

「これはなにをしているの?」
「ことばと場の展示なんです」
「ことばの?」
「バウムというデザイン会社がいままで手掛けたデザインと、
デザインに至るまでのことばを展示しています」

一見不思議な空間に
行き交う人々が足を止め、ひょっこり足を踏み入れてくれました。

 

どちらをとる?有料or無料

今回の企画展では、自転車に貼られているテーマなしに自由に書いてもらう展示や、ミラーに写った自分と対面できる場所など、お客さんも楽しんで参加できる仕組みを設けました。

例えば、会場の隅に置かれた”Free”と”10YEN”と書かれたパネルの前に置かれた缶バッジ。
片方は無料、片方は有料。有料のほうが質が高いのでしょうか。
実は2つとも同じ製品。

この展示のキャプションは“B”ーBehavioral Economics(行動経済学)でした。
“人が関わる場のデザインを考えるなかで、行動経済学は多くのことを教えてくれる。”から始まる
キャプションの前では、財布を片手に缶バッジを手に取る方がちらほら。
“Free”一択であれば、100人中100人が無料のものを手にとったでしょう。

さて、あなたならどちらを手に取りますか?


場をつくることば


会場内では偶然昔の友人に出会ったり、展示作品を通じ会話の輪が広がったりと
未だ収束は見えないコロナ禍の中でも
この「場」を介して出会った人と話すことで、会話の中で新しい発見や出会いが生まれ
喜びを感じることができました。

来てくれた人の話を聞くと、いままでバウムに関わってくれた方や、
たまたま立ち寄ってくれた学生さん、近くのスーパーに夕食を買いに来たご家族など、
携わる職種、経歴も様々。

訪れた方からは、場のデザインがかわいい!楽しい!という言葉の他に
「モヤモヤしていた部分を代弁にしてもらった感覚」
「なるほど、こういう捉え方があったのか!」
「キャプション(ことば)が特に良かったね」という声が聞こえました。
中には「もう一度確認したくて」と2回来てくださった方や、
この展示を見るためにはるばる北海道からという方も!

多くの方が会場をじっくりと見て回り、出ていく様子は
「?……なるほど……」と
納得しながらも自分のなかで循環させ、考えているよう。
展示で見られる言葉やメッセージはデザインにとどまらず、
広く多くの仕事でヒントを与えてくれるものでした。

私たちインターン生も、この展示に携わり実際に「場」が生まれるのを見る過程で
さまざまなヒントが隠されていることに気がつきました。

ここで2人のインターン生の発見をご紹介します。

“思いついた考えを頭の中に留めるだけでなく、手を動かしてアウトプットする大切さを学びました。試行錯誤を繰り返し、何度もアウトプットすることで、洗練された表現に近づいていくのだという発見をしました。ーこばりん”

“来場者との会話も楽しむことができました。今も続いていますが、かつてピークを迎えていたコロナ禍では行うことができなかった、たわいのないことをいろんな人と少しでも話す、ということの喜びを感じることができました。ーりんりん”

しかし、視野を広げるということやさまざまな視点から捉え考えるということはどの分野においても共通するのではないでしょうか。

私たちインターン生も、建築やグラフィックデザインなど日頃考えている分野は異なります。
しかし今回の企画展を通して、
「デザインを形作るまでの過程をことばにするって、あまりなかったよね。」
「自転車に付箋を貼る(“Z”ーZoom Outー視野を広げる)展示に貼られていたことばが
訪れた人の声や思いついたことを共有する”場”になっていた!」
「インターンとして参加をして体験を共有することが”E”ーExperienceー体験の蓄積のひとつなのかもしれない。」
など、各々のなかにも今回の展示を通して思考や捉え方が広がっていくことを感じ、
デザインの思考の奥深さや遊び心を改めて考え直すきっかけを与えてくれるものでした。

私たちがいままで見てきた視覚的なデザインだけではなく、
根底にある思考の部分こそが”アウトプットの前の大切なキーワード”であるということに
改めて気が付いた「場とことば展」でした。